タロットで22のお題（XV. 悪魔）

XV. 悪魔（因果応報）

卑怯な手を使ったという自覚はあった。そのことを後悔してはいない。
だが泣きそうな表情で微笑みを返す彼女を見るにつけ、少しだけ苦しくなる。
だから決めたのだ。以後、強引に事を運ばない、と。できる限り優しくする、と。
しかし、ここまで彼女が奥手だとは思わなかった。
もはや隣に座って手を握っているだけでは満足できないというのに。
それでも伸ばされる手がいつだって震えているから、いつまでも箍は嵌ったまま。
肥大する感情は止めどもなく、けれど溢れることもなく。
――いつまで持ちこたえられるのだろう。
触れるだけのキスをして、また気づかれないようにため息を吐いた。
（一層終盤・ゲイル）