ギルド『アルファ』探索日誌

主に世界樹の迷宮シリーズのプレイ記録。

タロットで22のお題(XVI. 塔)

XVI. 塔(衝撃)

昔から相談事を持ち込まれることが多かった。男子の割合の方が多かったと記憶している。理由はエリンだ。彼らは高嶺の花に手を伸ばす前に、彼女の一番近くにいる人間に助言を求めたのだ。男子からの相談を受けるということは、必然的に男子側の事情に強くなるということ、それで女子からの相談事も増えた。多分、僕自身が蚊帳の外だったからこそ成り立っていたのだと思う。
――だからといって。
この状況はなんなんだろう。腰の辺りにはアイカがへばりついてさっきからわんわん泣いている。最初は事情を聞き出そうとしていたディアナやエリンも、泣くばかりで一向に答えない彼女に匙を投げた。イシスに至っては初めから我関せずの様子で、今は三人とも夕食を食べに降りていってしまった。
確かに僕は言ったのだ。何かあったときは相談に乗る、と。それは僕がゲイルさんとのことで思考が空回りしていて、アイカのアドバイスのおかげで気持ちが定まったときのことだった。(そう言えばあのときどうして彼女が僕とゲイルさんのことを知っていたのかは謎のままだ。)そしてアイカも、そのうち相談することになるかもしれません、と言ったのだった。
わんわん泣きがぐすぐす泣きに変わったころ、しゃっくりの合間にアイカがつぶやいた。
「ふられ、ちゃいました」
納得と驚愕が同時に襲ってきた。ああ、確かに好きな人にふられたら泣くよね、と思いつつ、そもそもアイカに告白するほど好きな人がいた、という事実に言葉を失う。
「好き、だったのにな、―――さんのこと」
その名を聞いたときに受けた、雷に撃たれたかのような衝撃を、僕はきっと忘れない。
(三層中盤・フィオ)