ギルド『アルファ』探索日誌

主に世界樹の迷宮シリーズのプレイ記録。

物語の始まる前

全然脳内妄想を吐き出してないので、そろそろ書こうかな、と。
中の人は物書きでもなんでもないので、日本語でおkな部分があっても気にしないふりでお願いします。
親切マスタリー0、妄想マスタリーMAX振りなのでお気をつけください。




three years ago,


少女は決断を迫られていた。
生まれてからの大半の時間を過ごした、真っ暗な部屋の中で。
少女は、自分の目の前に選択肢が与えられたことを感謝していた。
ーーー自分で選ぶことも出来ない人生なんて、
ーーー舌を噛み切って死んだ方がましだ。
目の前にある選択肢は二つ。
本当はもっとあるのだろうが、彼が提示したーーー明示していないものも含めてーーー選択肢は二つだった。
考えるまでもない、と少女は思った。
ーーーあたしは、いつだって『生きて』いたいから。


翌日、真っ暗な部屋から少女の姿は消えていた。





青年は旅支度を整えていた。
父王から受けた命のため、国を出る支度をしていた。
青年は、そのことを一人の女性に話してあった。
彼女は代々継がれる騎士の家系の出自であり、女性の身でありながら一個小隊の副長であった。
彼女は当然のことのように言った。
「私もつれていってくれるんですよね?」
「・・・あなたの了承さえ得られれば」
「私が断るとでも思ったんですか?」
「実は思ってなかったよ」
彼女は微笑みでもってそれに答えた。
身分の差を気にしない出会いが、このような関係を生んだ。
それはとても幸運なことだ、と青年は考えた。


二人は夜が明ける前に城門をくぐった。
すぐに見慣れた姿が目の前に見えた。
彼は、二人の出会いを生み出した張本人だった。
「・・・・・・・・・なんでお前がここにいるんだ」
「勿論、俺もついていくからさ」
ニヤリと笑って答えたその言葉に、二人はしばらく呆然とするばかりだった。




a year ago,


「許しが出たわ」
と彼女が言った。
「じゃあ、アーモロードへ?」
「勿論そうするつもり」
「いつ?」
「直ぐにでも、と言いたいところだけど、……一週間くらいかしら」
「わかった。僕も準備しておくよ」
そう言うと、彼女は少しだけ表情を変えた。
彼女は、喜んでいても、悲しんでいても、怒っていても、ほとんど表情が変わらない。
まるでお人形のようで、守りたい、と強く思わせる。
「・・・無理、してない?」
「無理なんかしてないよ。僕がそうしたいからそうするだけ」
「そう・・・ありがとう」
「・・・あいつには?」
「まだ言ってないわ。返事は予想できるけど」
「まあ、ね」
あいつも自分と同じで、彼女を守りたいと思っている。
守られるだけのか弱い人ではないと、重々承知のうえで。
ーーーでも、彼女の中では、まだ僕の方が、優先順位が高いんだ。
そう思って、心の中で少しだけ笑った。
「あ、言い忘れてた。・・・よかったね」
その言葉に、彼女は微かに笑って頷いた。
ーーーアーモロードで、何かが変われば良いんだけど。


その願いはきっとかなえられる。
理由もなく、そう思った。




僕を呼ぶ声が聞こえた。
「どうしたんですか?」
「・・・これ」
「ああ、手紙ですね。わかりました」
彼女が少しだけ申し訳なさそうに差し出したのは、古くなって変色した手紙だった。
彼女は文字の読み書きができない。
故に、なにか読まなければならないとき、書かなければならないときは、こうして自分のところへくる。
こういうときにしか頼ってもらえないのは少し寂しいが、彼女の性格を考えるとそれも仕方なかった。
開いて目を通したその手紙の内容は、
「これは・・・!」
「なんて書いてある?」
「・・・これは、訃報です。君の父さんと母さんが、世界樹で亡くなった、と書いてあります」
「・・・!」
息を飲み、目を見開いて硬直してしまった彼女に聞く。
「この手紙は?」
聞いた意味は正確に伝わったようだ。
「・・・おじいちゃんのものを整理してたら出てきた。
その一通だけ他のと分けてあって、古かったし、なんだか気になったから」
「なるほど・・・」
彼女の祖父はついこの間亡くなったばかりで、ここ数日、彼女は遺品の整理をしていたはずだ。
また、僕を呼ぶ声が聞こえた。
世界樹って、アーモロードの?」
「おそらくはそうでしょう。封筒にそう書いてあります」
「そっか・・・読んでくれてありがとう」
彼女はなにかを考え込む風情で立ち去った。
そのままぼんやりと彼女を想う。
唯一の親類を亡くし、両親の死の理由を知った彼女は、いったいなにを思うのだろうか、と。


冒険者になってアーモロードへ行く、と彼女が言い出すまで、あと三日。




a month ago,


青年は潮風に吹かれて立っていた。
船を出してくれる人も見つかり、あとひと月もすればアーモロードに着いているはずだった。
だいぶ遠回りをしてしまった、と青年は思った。
北の大地からは航路が確立されてなく、西の方から大回りをしてきたのだ。
ーーーだが、もうすぐだ。
青年は、未だ踏破されていない世界樹にとても興味があった。
なぜなら、青年の生まれ育った地にあった世界樹というものは、既に完全に踏破されていたからだ。
その背景には、血で血を洗う過去があったということを知る者は、数少ない。
その数少ない一人である己の師匠の言葉を、青年は思い出した。
『一番怖いのは、言葉を持つものだ』
『理解することができると、勘違いしてしまうからね』
『理解しあえないということが理解できるだけなのに』
その言葉には、悲しみと幾ばくかの真理が含まれていた。
ーーーかの世界樹にもあるのだろうか。
ーーー言葉を持つものが。


もしそれに相対したとき、自分はどう考え、どう行動するのか。
青年にはわからなかった。